グリッド−プレート間の高域での増幅率を計算しました。下図がその結果です。対象の回路は、前項の「7.3 高域での周波数特性の観察」と同じで、動作条件は@です。
黒線が五極管接続時、青線がP-G帰還時です。赤線は参考でA=RL/(rp+RL)*μです。
減衰量は、横軸の補助線は、0.2dB単位ですので、1000KHzでも0.2dB以内に納まっていました。
従って、減衰はするけどほぼ一定、と言える結果でした。
また、P-G帰還と五極管接続では差異はほとんどありませんでした。
計算式から考察すると、
通常の増幅回路でのグリッドからプレートまでの高域の増幅率Agphの計算式を変形すると、(「7.2 高域での増幅率の計算式」参照)
RcgpがZoに比して十分大きければ、 Zo/Rcgp≒0となり、 Apgh≒Aと見なせます。
・五極管のCgpは概ね1pF以下です。1pFのリアクタンスは、100KHz、500KHzのとき、それぞれ、1.6MΩ、320KΩとなりますので、Cgp=1pF、Zo=4KΩのとき、Zo/Rcgp は、100KHz、500KHzのとき、それぞれ、0.0025、0.013です。
同様にP-G帰還回路でのグリッドからプレートまでの増幅率Agpfhの計算式を変形すると、
Rf1が十分大きければ、通常の増幅回路と同様に、Apg≒Aと見なせます。
通常の増幅回路、及び、P-G帰還を施した増幅回路でのグリッド−プレート間の増幅率Apgは、
Ø 通常の増幅回路とP-G帰還回路では、差異は無い
Ø 周波数に依存せずApg≒A=RL/(rp+RL)*μ
と見なして、回路全体の増幅率を解析しても大きく外してしまうことはなさそうです。
この見なしをしないと、以降での高域特性の解析は私には不可能でした。
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