超3極管接続(Ver.1) 50BM8 シングル・アンプ 本番機 動作点のフィッティング |
Ver.01 2015/12/7
試作4号機で試した出力管V2の動作点2は、出力を維持したままプレート損失を抑えることができました。反面、100Hzの最大出力がいまひとつでした。我が家のスピーカは、能率だけは自慢できる大昔のユニットなので出力は0.3Wもあれば大音量となりますので、このままでも良いのですが、折角なのでもう一工夫してみます。
♪ 100Hzの出力低下 100Hzの最大出力が落ちてしまった動作点2は、プレート電流を絞りプレート電圧をアップさせています。プレート電圧だけを上げた動作点2´では、100Hzの最大出力が復活しています。 プレート電流の多寡により100Hzの最大出力に差異が出たのは、何故なのでしょうか?
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♬ 出力低下の原因上條さんのお手本記事を読み返してみると、『100Hzで歪みが大きい原因は、出力トランスのインダクタンスが低下して出力管の電流振幅が大きくなることと、電源インピーダンスが増加するため電源電圧が変動することの2点が考えられます。』との記載が見つかりました。 この記述の 電源インピーダンス云々の箇所はよく理解できませんが、出力トランスのインダクタンスの箇所は、ITS-2.5WSの100Hzのインダクタンスが仮に10Hだとすると、100Hzのインピーダンスは2*Π*100Hz*10H=6.2KΩとなり、10KΩと比べてロードラインが立ってしまうため、最大出力が低下した、ということでしょうか? 実際のインピーダンスがどの位なのか分かりませんが、5KΩとしてロードラインを引いてみると、動作点2では、マイナス側の電流振幅が頭打ちとなり最大出力が2.0Wから1.4Wまで低下しています。また、動作点1では、5KΩ負荷のときの最大出力は落ちるどころか増えていました。 素人の勝手な解釈ですが、これが動作点2で100Hzの最大出力が落ちた理由かと思われます。
☞ そう言えば、試作2号機でも試作1号機と比べて100Hzの最大出力が落ちていました。このときもカソード電流が試作1号機の35mAから33mAに下がっています。なるほどなぁ、プレート電流に余裕が必要だったのかぁ、と勝手に納得してしまいました。 それにしても、1.7Wから1.4Wに落ちてしまうなんて、びっくりぽん。
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♪ 新たな動作点−出力2W100Hzでの最大出力低下の理由(らしきこと)が見えました。このことに留意しながら、新たな動作点を求めてみることにします。ターゲットは、試作4号機の改造でプレート電圧に余裕ができたこともあり、最大出力 “2W” とします。尚、プレート負荷10KΩはそのまま据え置きです。
♬ 動作点3 試作1号機のカソード電圧・電流を変化させたミニ実験で、出力2Wは得ています。このときの動作点は、プレート電圧223Vでプレート電流は25mA(カソード電流30mA)でした。ただし、このときのロードラインはプレート電流に余裕が無いので、確認はしていませんが、動作点2と同様に100Hzでの最大出力には問題が発生していたと思われます。
そんなことから、電圧も電流もアップさせてみます。 電流は、出力管V2のカソード電流を決めている220Ωと68Ωの抵抗のうち68Ωを取り去り、カソード電流を39mAにアップさせました。電源トランスの容量Maxの値です。この状態でプレート電圧をVR2で調整しながら最大出力を測定したところ、プレート電圧213V、プレート電流33mA(カソード電流39mA)で出力2Wが得られました。(これを動作点3としました。) プレート電圧をこれ以下にすると出力2Wは得られませんでした。また、この動作点でのプレート損失は7Wで定格一杯です。 ロードラインを引いてみると、プレート電流には余裕がたっぷりある感じです。
測定データは、100Hzでの最大出力は、1KHzの2.0Wに対して1.9Wでした。動作点1より落ち幅が半減しています。歪み率特性を見ると、出力が伸びていることがよく分かります。 また、商用AC電圧を変化させてみましたが思いのほか悪影響はありませんでした。我が家では問題なしです。 出力以外の特性も問題は無さそうです。 |
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♬ 動作点4 動作点3は、プレート電流を目一杯アップしたこともありプレート損失が定格一杯でした。そこで、損失をもう少し抑えた使い方で、出力2Wを得たいと思います。 具体的には、出力管V2のカソード電流を決めているソース抵抗を220Ωと15Ωとして、カソード電流を37mAにダウンさせ、プレート電圧215V、プレート電流33mAとしたところ、出力2Wが得られました。(これを動作点4としました。) この動作点でのプレート損失は6.7Wで、ほんの気持ちですが定格の7Wを下回っています。 100Hzの最大出力は、歪み率が動作点3より悪化しているものの値はほぼ同一です。 |
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♪ 参考―低域の周波数特性 これまでの各試作での低域の落ち込み度合いを比較してみます。この目的で採取したデータではないので、必ずしも最適なデータではないですが、傾向は見て取れるかと思います。
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a) 動作点毎の比較 動作点1、3、4は、出力0.125Wでは大差ありません。また、出力2W付近では100Hzでかなり出力が低下していた動作点2も、出力0.125Wでは、20Hzまでは差が無く10Hzでも0.5dB程の落ち込みです。
b) 出力毎の比較 0.125Wから最大出力までの比較です。@は試作1号機・動作点1、Aは本番機・動作点4です。試作4号機・動作点2の最大出力のときの曲線か気になります。
c) 負荷毎の比較 負荷10KΩ、7KΩ、5KΩでの比較です。Aは、出力トランスがITS-2.5WSでは無くT-1200でのデータです。
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本番機の動作点は、最後に試した動作点4を採用することにしました。違いを聞き取れるはずは無いのですが、何故かいい感じに聞こえてしまった。ホント幸せな耳です。
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