超3極管接続(Ver.1) 50BM8 シングル・アンプ 試作4号機 制作と評価 |
Ver.01 2015/12/7
♪ 改造回路 今回の改造は、試作3号機(2SK117)から、@ 初段2SC1775Aの基準電圧を12Vから5Vに変更することと、A 出力管V2動作点を、プレート電流25mA、プレート電圧218Vとすることの2点です。 @は、ZDによる基準電圧生成回路をアンプ共通とし、初段Q3の基準電圧5V(B3)を抵抗22KΩと18KΩで生成しました。この部分に流す電流はどの程度の量が妥当なのか分からず、ZDには0.9mA、22K/18KΩには0.3mA流れる抵抗値としました。それから、この@の改造に併せて、見様見真似でZDに電解コンデンサーを抱かせました。また、2SK117のゲートに3.3KΩの発振止めを入れました。 評価ボード上の部品配置の都合から、ZDによる基準電圧を生成する回路部分は、R-CH側に実装して、L-CH側には長さ25cmほどの線で繋ぎました。左右のCHで差分のある配線ですが、大丈夫かなぁ? Aは、Q2のソース抵抗器を288Ω(220Ω+68Ω)に交換してプレート電流を25mAに、VR2でプレート電圧を218Vに調整します。 |
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♪ 各部の直流電圧・電流 改造はいたって簡単。プレート電圧はVR2で218Vに調整しました。プレート電圧は安定しているのでカソード電圧を調整するよりは容易でした。 各部の電圧、電流は、ほぼ想定していた値となりました。出力管V2のプレート損失は、改造前の6.1Wから5.4W〜5.5Wと改善しています。 初段電圧(2SC1775Aのコレクタ電圧(対アース))は、直読値で38Vと39V。この部分は、DMMの内部抵抗のため3〜4%ほど低い値が表示されますので、実態は40Vくらいでしょうか。 ( 「DMMで測定したときの電圧降下」参照 )
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♪ 評価その1:商用100Vの変動への耐久性 出力管V2のプレート電圧を10Vアップさせても、商用100Vが97Vくらいまで落ちても平気なように改造したつもりですが、実際のところ上手くいったのかどうか、評価しました。 評価の方法は、1KHzの入力信号の電圧値を固定したまま、商用100Vの電圧値をスライダックでAC90VからAC110Vまで増減させ、歪み率と出力の変化を見る、という方法にしました。 固定する入力信号の電圧は、次の2ヶです。 @:AC電圧が100Vのとき、出力1.71W/歪率1.0%となる入力電圧(=388mV)で評価 A:AC電圧が100Vのとき、出力1.93W/歪率2.0%となる入力電圧(=411mV)で評価。ほぼ最大出力です。
評価結果を下図に示します。 ² @、Aとも、AC電圧が95Vを下回ると、急速に歪率が悪化し、出力も低下します。これは、初段の電圧が不足するためと想定されます。 ² Aのときは、AC電圧を100Vからアップしていくと、歪率と出力が緩やかに悪化していきます。この理由は不明です。 |
この結果から、出力管V2のプレート電圧を10Vアップさせた動作点でも、商用100V の変動に対して95V〜107Vの範囲ならOKと判断しました。
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♪ 評価その2:動作点2への改造 改造後の動作点2の下記の特性は、改造前の試作3号機と比べて、総合利得が若干アップしましたが、概ね同等でした。 尚、残留雑音の測定に関しては、測定方法に問題があったことが分かりました。この問題点は、別章「残留雑音測定の問題点」でまとめます。
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♬ 最大出力と歪率 改造前の試作3号機と比べと比べて、1KHzでは最大出力は微増、歪み率は大差ありません。 100Hzでは、最大出力が悪化し、0.125Wでの周波数特性も20Hz以下で若干悪化しています。 |
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0.1W以下は参考です。(残留雑音との整合が取れないデータです)
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♬ 100Hzでの最大出力の悪化理由 100Hzの最大出力が悪化した理由を切り分けるため、出力管V2の動作点のプレート電流値だけを改造前に戻したところ、最大出力が復活しました。 この改造でプレート電流を絞ったことが理由と想定されます。
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出力管V2の動作点のプレート電圧を10Vアップさせましたが、今回の改造により、商用100V の変動に対しては、97V〜103Vの範囲なら問題なし、95V〜107Vの範囲でもOKかと思います。 また、この動作点の変更により、出力を落とすことなく、プレート損失を6.1Wから5.4Wに10%ほど低減できました。ただ、100Hzの最大出力が残念ながらいまひとつでした。 |