低域でのロードライン |
2017/5/31
♪ T-1200の1次インピーダンス 下図は、どこかの地形の断面図のようですが、T-1200の1次インピーダンスの特性を本機で測定した結果です。出力トランスT-1200と71Aのプレート間に10Ωの抵抗を割り込ませて、この10Ωの端子間とT-1200の1次端子間の信号電圧を測り、インピーダンスを求めました。信号電圧の大きさは、T-1200の2次側の端子間で1V(8Ωのダミーロード)としました。 1KHzでは7KΩですが、100Hzで6.1KHz、10Hzでは1.9KΩにまで低下、また、約30KHzで15KΩ位の山となっています。測定する前は、もう少しフラットだと思っていました。
♪ ロードライン 10Hzでは1次インピーダンスが7KΩから2KΩまで落ち込んでいます。このときロードラインがどう変化しているのか、負荷7KΩと負荷2KΩのロードラインをEp-Ip特性図に書き込んでみました。下図の左側のロードラインです。負荷2KΩは全く出力が取れないことが良く分かりました。 F 本機の出力段の動作点は、V+電圧が281Vのとき出力段のカソード電圧を107Vに調整すると、カソード抵抗は6.6KΩですからプレート電流=カソード電流=16.2mA、また、カソード電圧と出力トランスの1次側の降下電圧から、プレート電圧=168Vになります。この動作点を動作点#1とします。
そこで、もう少し負荷2KΩのロードラインが良好になる動作点を選んでみました。条件としては、回路に手を入れない、2SK30のソース側の500ΩのVRでカソード電圧を変化させることで得られる動作点とする、です。 2KΩ負荷でも最適かつ7KΩ負荷でも最適になるような動作点はありませんので、2KΩ負荷に良好な動作点にすると7KΩ負荷としては悪化していきます。こちらを立てればあちらが立たずですが、それでも、プレート電圧=158V、プレート電流=17.5mAとしてみました。この動作点を動作点#2とします。下図右側がそのロードラインです。プレート電流で見れば、高々1.3mAの増加ですから、あまり変化していないように見えますね。
♪ 動作点を変えた結果は?特性データを取ってみることにします。どのような特性データを取れば良いのか分からなかったのですが、低域での出力の伸びを見るということで周波数を変化させながら歪み率が5%と1%となる出力をそれぞれ測定してみることにしました。 動作点を変えたことが、うまくデータで捉えられるとよいのですが、どうでしょうか。
動作点#2のカソード電圧は115.5Vです。2SK30のソース側の500ΩのVRを回してカソード電圧を115V〜116V位にして、測定したところ、僅かですがデータに変化が表れていました。下図がそのデータです。 左側は歪み率が1%となる出力特性で、プレート電流を増やした動作点#2では中域、高域での出力が低下するものの70Hz以下の出力は増加しています。右図の5%の歪率でみると、出力が低下するわりには低域での出力はあまり増えていませんでした。
高々1.3mAのプレート電流の増加が特性データとして目に見えるとは思えませんでした。プレート電流全体で見れば8%になるからでしょうかね。面白かったです。
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