EL95 と6V6 の仮想三極管 (P-G 帰還) のプレート特性図は、同一となりました。しかしながら、内部抵抗 rp は等しいものの、増幅率 μ は2 倍の差異がありましたので、“同一” と言う言葉には少々ひっかるものを感じます。
そこで、増幅率 μ も同じになる真空管は無いものかと、Tina7 でいくつかプレート特性図を作図してみました。
作図したなかからそれとなく似ていそうな、6LB6 とKT88 を比べてみました。
仮想三極管 (P-G 帰還) の動作条件ですが、同じ帰還率で、スクリーングリッド電圧は、6LB6 はマニュアルに記載されている値、KT88 は推奨値よりは低い値の150V です。Ein は、同じ 10Vstep です。
また、重なり度合いを見るため、KT88 のEp-Ip 曲線の Ein 値は、0V からではなく、Ein=−2.5V、Ein=−12.5V、Ein=−22.5V、・・・、としています。6LB6 は、Ein=0V、Ein=−10V、Ein=−20V、・・・、です。
仮想三極管(P-G帰還)動作条件 |
||
6LB6 |
スクリーングリッド電圧=110V |
β=0.091(Rs=100KΩ、Rf=1MΩ) |
KT88 |
スクリーングリッド電圧=150V |
同上 |
縦軸Ipに着目していただくと判りますが、6LB6 は大電流の真空管であり、両真空管では縦軸の最大値が異なります。似ているようで似ていないような感じですが。
この2ヶのプレート特性図を重ね合わせてみたのが下図です。 重なり具合をもう少し詳しくみるため、右図は、縦軸 Ip を 300mA に拡大しました。
ここで、もう 1 本の真空管を登場させます。6KV6 です。
特性からは、姉妹とは言い難ものがありますが。
管種 |
動作特性 |
最大プレート損出 |
||||||
Ep |
Esg |
Ec |
Ip |
Isg |
Gm |
rp |
||
KT88 |
250V |
250V |
|
140mA |
|
11mA/V |
12KΩ |
45W |
6LB6 |
150V |
110V |
-20V |
105mA |
2mA |
13.4mA/V |
6.6KΩ |
30W |
6KV6 |
140V |
140V |
-24.5V |
40mA |
2.4mA |
6mA/V |
10KΩ |
20W |
仮想三極管 (P-G 帰還) の動作条件を、帰還率 β は先と同一、スクリーングリッド電圧はマニュアルに記載されている値、Ein は先と同じ 10VStep で、特性図を Tina7 で描いて見ました。
6LB6 の仮想三極管 (P-G 帰還) の特性図に似てますよね。
仮想三極管(P-G帰還)動作条件 |
||
6KV6 |
スクリーングリッド電圧=140V |
β=0.091(Rs=100KΩ、Rf=1MΩ) |
重ねあわせてみました。 “一致”と言っても良いのではないでしょうか。
手間暇かけて、帰還率 β やスクリーングリッド電圧を多々変化させて似ている特性図を探し出したわけではなく、 6KV6 と 6LB6 は単にアルファベット順の名前が近いことが起因して見つかりました。この他にも仮想三極管 (P-G 帰還) のプレート特性図が重なりあう真空管は多々あるように思えます。
一体、何故?
一次的要因としては各菅のベースの EP-IP 特性図が似ているからに他ならないわけですが、真空管の設計者に尋ねてみたいところです。
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