DEPP はじめに |
2018/10/19
下図は、6AH4GTを用いた通常のプッシュプル回路(Double Ended Push-Pull 回路・DEPP回路)のロードラインです。動作基点を250V、21mAとした A級動作、負荷は 8KΩです。 |
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緑色の線は、単管のロードラインです。シミュレータで得ました。 シングルアンプのロードラインは直線ですが、プッシュプルになると随分と曲がるものなんですね。 ロードラインの傾きは、出力管の負荷の逆数に相当するので、曲がっているということは、プレート電流の多寡により出力管の負荷の大きさが変化しているということかと思いますが、何故なんでしょうか?
水色の線は、合成ロードラインです。A級動作なので Ep-Ip特性図上の合成ロードラインにはあまり意味が無いよ、と言われそうですが、まぁ、教科書にあるとおりに Ep軸の250Vを起点として負荷 8KΩの 4分の1で引いています。 それにしても、何故、負荷(=出力トランスの1次側P-P間インピーダンス)の4分の1で合成ロードラインを引くのでしょうか?
プッシュプルアンプの制作記事、なかでも出力段の設計部分は、私にとって曖昧な記述が多くて理解できないことが多々あり、ベテランの方でないとプッシュプルアンプの設計は難しそうだなぁと感じていました。 そんなとき、『真空管アンプの「しくみ」と「基本」』(中林歩著)の付録にある「少し高度な真空管回路の働き」を読み、疑問が氷解し始めました。 以下、私なりに通常のプッシュプル回路(Double Ended Push-Pull 回路・DEPP回路)の基本的な動作を調べて、理解できた事柄の記録です。
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♬ 解析対象回路本稿では、断りの無い限り右図を解析対象としています。 真空管2本とトランスだけです。シンプルで、何を解析?と言いたくなります。
♬ シミュレータシミュレータは、Tinaを使いました。また、真空管デバイスモデルは中林歩さんが公開されているモデルを使用させていただきました。中域での基本動作のトレースなので信号周波数は 1kHzとしています。
♬ 出力トランス実際の出力トランスのコイルには巻線抵抗や、伝送損失がありますが、本稿では、断りの無い限り、巻き線直流抵抗= 0Ω、伝送損失無しの理想的なトランスとしています。 ♬ 参考書籍、web情報「真空管アンプの「しくみ」と「基本」(中林歩著)」 「オーディオ用真空管マニュアル (一木吉典著)」 「OTLアンプの設計と製作 (武末数馬著)」 ぺるけさんのweb情報 「12. ロードラインその5 (電力増幅回路・・プッシュプル基礎編)」他 中林さんのweb情報 「4.1 プッシュプル出力段の動作解析」他
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